ゴルファーなら誰もが悩む「自分に合ったクラブ選び」。特に、アイアンのシャフトの長さが身長に合っているのか、疑問に感じたことはありませんか?
「身長が高いから長いシャフトが良い」「低身長だから短くすべき」といった話をよく聞きますが、実は身長だけで長さを決めるのはスコアを損なう原因になりかねません。
この記事では、アイアンのシャフトの長さと身長の基本的な関係性から、多くのゴルファーが見落としがちな「ライ角」の重要性までを徹底解説します。
結論から言うと、アイアン選びの最適な答えは、身長だけでなく「手首から床までの距離」と「ライ角」を考慮することで見つかります。
適正な長さの目安や正しい測り方、そして長さが飛距離や方向性にどう影響するのかを理解すれば、もうクラブ選びで迷うことはありません。7番アイアンを基準とした考え方から、番手ごとの長さの違いまで、あなたのゴルフをレベルアップさせる知識がここにあります。
- 身長は絶対的な基準ではなく、「手首から床までの距離」が重要であること
- ショットの方向性を決めるのは長さ以上に「ライ角」が影響すること
- 番手ごとの標準的な長さや、正しいクラブの長さの測り方がわかる
- シャフトの長さが飛距離とミート率に与える影響を理解できる
アイアンシャフトの長さと身長の基本|適正な選び方と測り方

アイアンのシャフト選びと聞くと、多くの人が真っ先に「身長」を思い浮かべるかもしれません。しかし、それは最適な一本を見つけるための入り口に過ぎません。このセクションでは、身長と長さの基本的な関係性を踏まえつつ、より正確なフィッティングに不可欠な指標や、クラブの正しい測り方など、後悔しないクラブ選びのための基礎知識を解説します。
- 目安は身長より「手首から床まで」の距離で判断
- 身長170cmなら市販クラブが基準になる理由
- 適正値はミスショットを減らすライ角とのバランスで決まる
- もう迷わない!7番アイアンの身長別・長さ目安一覧表
- クラブの測り方は2種類ある?「60度法」が公式ルール
- 7番アイアンの平均的なcmはどれくらい?インチとの換算も解説
- メーカー・モデル別の標準的な長さ一覧
- 番手間で0.5インチずつ変わるのが一般的
目安は身長より「手首から床まで」の距離で判断

アイアンシャフトの長さ選びにおいて、身長はあくまで一つの目安です。それよりもはるかに重要な指標、それが「手首から床までの距離(Wrist-to-Floor Measurement、略してWTF)」です。なぜなら、同じ身長の人でも、腕の長さや足の長さは千差万別だからです。
例えば、身長は同じでも腕が長い人の場合、標準的な長さのクラブでは長すぎると感じ、窮屈なアドレスになりがちです。逆に腕が短い人は、クラブが短く感じてしまい、前傾姿勢が深くなりすぎる原因となります。これでは安定したスイングは望めません。
WTFは、ゴルフシューズを履いて背筋を伸ばして直立し、腕を自然に体の横に垂らした状態で、床から手首の一番上のシワまでの距離を測ります。この数値と身長を組み合わせることで、よりパーソナルな、あなただけの適正なシャフト長を導き出すことができるのです。専門的なフィッティングでは、このWTFを計測することが基本中の基本とされています。自己判断でクラブを選ぶ前に、一度ご自身のWTFを測ってみることを強くお勧めします。
身長170cmなら市販クラブが基準になる理由

ゴルフショップに並んでいる多くの市販クラブは、なぜ身長170cm前後のゴルファーにフィットしやすいのでしょうか。その理由は、メーカーが製品開発を行う際に、日本の成人男性の平均身長である約170cmをメインターゲットとして設計しているからです。
メーカーとしては、最も販売ボリュームが大きい層、つまり最も多くのゴルファーに「そこそこ合う」クラブを提供することで、ビジネス効率を高める必要があります。そのため、市販の標準スペック(いわゆる「吊るし」のクラブ)は、この平均身長のゴルファーが構えたときに、適正なアドレスが取りやすく、違和感なくスイングできるようにバランスが取られています。
ですから、もしあなたの身長が170cm前後であれば、標準スペックのクラブが比較的フィットする可能性が高いと言えます。しかし、これはあくまで可能性の話です。前述の通り、腕の長さやスイングの癖は個人差が大きいため、「身長170cmだから標準でOK」と安易に判断するのは早計です。必ず試打を行い、専門家のアドバイスを求めることが、失敗しないクラブ選びの鉄則です。
適正値はミスショットを減らすライ角とのバランスで決まる

アイアンの適正な長さを追求する上で、シャフト長単体で考えることはできません。ミスショットを減らし、安定した方向性を手に入れるためには、「ライ角」とのバランスが極めて重要になります。ライ角とは、クラブを地面に置いたときにできる、シャフトと地面との間の角度のことです。
このライ角があなたの体格やスイングに合っていないと、たとえシャフトの長さが完璧でも、ボールは真っ直ぐ飛んでくれません。
- ライ角がアップライトすぎる場合: インパクトでヘッドのヒール側(手元側)が地面に当たり、フェースが左を向くため、ボールはターゲットの左へ飛びやすくなります(引っかけ、フック)。
- ライ角がフラットすぎる場合: インパクトでヘッドのトゥ側(先端側)が地面に当たり、フェースが右を向くため、ボールはターゲットの右へ飛びやすくなります(プッシュ、スライス)。
特に身長が高い、あるいは低いゴルファーは、このライ角が合っていないケースが非常に多く見られます。無理に長いシャフトや短いシャフトを選ぶよりも、まずは自分に合ったライ角のクラブを見つけ、それに合わせて長さを微調整するというアプローチが、スコアアップへの最短ルートです。長さとライ角は、常にセットで考えるべき車の両輪のような関係なのです。
もう迷わない!7番アイアンの身長別・長さ目安一覧表

アイアンセットのフィッティングでは、多くの場合「7番アイアン」が基準となります。ここでは、一般的な7番アイアンの長さを基準(スチールシャフトで約37インチ)とした場合の、身長別の長さ調整の目安を一覧表でご紹介します。ただし、これはあくまで腕の長さなどが平均的であると仮定した場合の参考値です。
| 身長 | 7番アイアンの長さ調整の目安 |
|---|---|
| 190cm以上 | +1.0インチ以上 |
| 183cm – 189cm | +0.5インチ ~ +1.0インチ |
| 176cm – 182cm | 標準 ~ +0.5インチ |
| 169cm – 175cm | 標準 |
| 162cm – 168cm | -0.5インチ |
| 155cm – 161cm | -1.0インチ |
| 154cm以下 | -1.0インチ以下 |
この表からわかること
この表を見ると、基準となる身長170cm前後から身長が約7cm変わるごとに、0.5インチの調整がひとつの目安となることがわかります。しかし、これは絶対的なルールではありません。例えば身長180cmでも腕が非常に長ければ標準長さが合うこともありますし、身長165cmでも腕が短ければ標準長さが適正な場合もあります。
最終的には、この表を目安にしつつ、実際にクラブを構えてみてアドレスのしっくり感を確認したり、専門家によるスイング診断を受けたりして、総合的に判断することが重要です。
クラブの測り方は2種類ある?「60度法」が公式ルール

ゴルフクラブの長さを測る方法には、実は主に2つの基準が存在し、メーカーによって採用する方法が異なる場合があることをご存知でしょうか。それが「60度法」と「ヒールエンド法」です。そして、日本ゴルフ協会が定めるゴルフの公式ルールで採用されているのは「60度法」です。
- 60度法: クラブのソール(底面)を60度の傾斜を持つ測定器に当て、地面との接点からグリップの端までの長さを測る方法です。ヘッドの形状に左右されずに一貫した測定ができるため、公式な基準とされています。
- ヒールエンド法: クラブを地面に置いたとき、ソールの延長線とシャフトの中心線が交わる点(ヒールエンド)から、グリップの端までを測る方法です。一部のメーカーで採用されています。
この測定方法の違いにより、同じ「37インチ」とカタログに記載されていても、実際の長さが微妙に異なるケースが発生します。特に中古クラブを購入する際や、シャフトを交換する際には、どちらの基準で測られた長さなのかを意識することが大切です。わずかな差が、スイングの感覚に大きな影響を与えることもあるため、覚えておくと良いでしょう。
7番アイアンの平均的なcmはどれくらい?インチとの換算も解説

ゴルフクラブの長さは、一般的に「インチ」で表記されます。では、基準となる男性用の7番アイアンの平均的な長さである「37インチ」は、私たちに馴染みのある「センチメートル」に換算するとどれくらいなのでしょうか。
答えは、約94cmです。(正確には 37インチ × 2.54cm = 93.98cm)
ゴルフを始めたばかりの方や、インチという単位に慣れていない方にとっては、cmで長さをイメージする方が分かりやすいかもしれません。以下に、主要な番手のインチ表記と、おおよそのcm換算をまとめました。
| 番手 | 一般的な長さ(インチ) | 長さの目安(cm) |
|---|---|---|
| 5番アイアン | 38.0インチ | 約96.5cm |
| 6番アイアン | 37.5インチ | 約95.3cm |
| 7番アイアン | 37.0インチ | 約94.0cm |
| 8番アイアン | 36.5インチ | 約92.7cm |
| 9番アイアン | 36.0インチ | 約91.4cm |
| PW | 35.5インチ | 約90.2cm |
このように、クラブの長さをcmで把握しておくと、自分の身長との比較がしやすくなったり、他のスポーツ用品などとの長さを具体的に比べたりする際に役立ちます。
メーカー・モデル別の標準的な長さ一覧

「標準の長さ」と言っても、その基準はメーカーやモデルの設計思想によって異なります。特に、飛距離性能を重視した「飛び系」と呼ばれるアイアンは、ロフト角を立てると同時に、シャフトを少し長めに設定してヘッドスピードを上げやすくしている傾向があります。
ここでは、主要メーカーの代表的なモデル(2023年〜2024年モデル)における7番アイアンの標準シャフト長を一覧で見てみましょう。
| メーカー | モデル名 | 7番アイアン 標準シャフト長 (インチ) |
|---|---|---|
| TaylorMade | P790 (2023) | 37.0 |
| Callaway | PARADYM Ai SMOKE | 37.0 |
| Titleist | T200 (2023) | 37.0 |
| PING | G430 | 37.0 |
| SRIXON | ZX5 Mk II | 37.0 |
| XXIO | XXIO 13 | 37.25 |
| PING | i530 | 37.25 |
分析と考察
この表を見ると、アスリート向けやアベレージゴルファー向けの多くのモデルでは、7番アイアンの長さが37.0インチで統一されていることがわかります。一方で、やさしさや飛距離性能を追求したモデル(XXIO 13やi530など)では、少し長めの37.25インチが採用されています。この0.25インチの差が、ヘッドスピードの向上に寄与しているのです。
クラブを選ぶ際には、こうしたモデルごとの特性も理解し、自分が求める性能と照らし合わせて検討することが重要です。
番手間で0.5インチずつ変わるのが一般的

アイアンセットは、番手ごとに安定して一定の飛距離差を打ち分けられるように設計されています。この「飛距離の階段」を作るための重要な要素の一つが、番手間のシャフトの長さの差、いわゆる「レングスフロー」です。
伝統的に、そして現在でも多くのアイアンセットでは、番手が一つ大きくなる(例:7番→8番)ごとに、シャフトの長さが0.5インチ(約1.27cm)ずつ短くなるように設定されています。
例えば、5番アイアンが38インチだとすると、
- 6番アイアン:37.5インチ
- 7番アイアン:37.0インチ
- 8番アイアン:36.5インチ
- 9番アイアン:36.0インチ
というように、番手ごとに等間隔で短くなっていきます。
これにより、ゴルファーはどの番手でも同じようなタイミングでスイングすることができ、ロフト角の違いと相まって、番手ごとに約10〜15ヤードの安定した飛距離差を生み出すことができるのです。ただし、近年ではモデルによってこのピッチを0.375インチにするなど、独自の設計を採用するメーカーも増えてきています。
身長とアイアンシャフトの長さが飛距離やスコアに与える影響

シャフトの長さを自分に合わせて最適化することは、単に構えやすくなるだけでなく、飛距離やスコアといったパフォーマンスに直接的な影響を及ぼします。しかし、その関係は「長ければ飛ぶ」といった単純なものではありません。ここでは、長さがもたらすメリットとデメリット、そしてスコアメイクに繋がる考え方について深掘りしていきます。
- 長いほうがヘッドスピードは上がるが本当に飛ぶのか?
- 飛距離アップとミート率低下のトレードオフ関係
- 身長180cm以上のゴルファーはライ角調整が必須
- 全番手同じ「ワンレングスアイアン」という選択肢
長いほうがヘッドスピードは上がるが本当に飛ぶのか?

シャフトが長い方がヘッドスピードが上がりやすい、というのは物理の法則に基づいた事実です。シャフトが長くなると、スイングアーク(クラブヘッドが描く円弧)が大きくなります。同じ力感、同じ角速度でスイングした場合、円弧の半径が大きいほど先端の速度は上がるため、ヘッドスピードは向上します。
しかし、「ヘッドスピードが上がる」ことと「ボールが本当に飛ぶ」ことは、イコールではありません。なぜなら、飛距離を決めるもう一つの重要な要素である「ミート率」が関わってくるからです。ミート率とは、クラブフェースの芯(スイートスポット)でボールをどれだけ効率よく捉えられたかを示す数値です。
シャフトが長くなると、クラブの操作性が難しくなり、スイングの再現性が低下しがちです。その結果、フェースの芯を外してヒットする確率が高まります。いくらヘッドスピードが速くても、ミート率が低ければボールに効率よくエネルギーが伝わらず、結果的に飛距離をロスしてしまうのです。プロゴルファーや上級者が長いシャフトを使いこなせるのは、高いミート率を維持できる安定したスイング技術があるからです。
飛距離アップとミート率低下のトレードオフ関係

アイアンシャフトの長さを考える上で最も重要なのが、この「飛距離アップの可能性」と「ミート率低下のリスク」という、表裏一体のトレードオフ関係を理解することです。
多くの初心・中級者ゴルファーは、飛距離を求めるあまり、自分には長すぎるスペックのクラブを選んでしまう傾向があります。しかし、スコアメイクにおいて重要なのは、一発の最大飛距離ではなく、計算できる「平均飛距離」です。多少最大飛距離が落ちたとしても、毎回安定して芯で捉えられる、コントロールしやすい長さのクラブを選ぶことの方が、結果的にスコアをまとめる近道となるのです。自分にとって、このトレードオフの最適なバランス点を見つけることが、クラブ選びのゴールと言えるでしょう。
身長180cm以上のゴルファーはライ角調整が必須

身長180cm以上の高身長ゴルファーが市販の標準スペックのアイアンを使う場合、ほぼ間違いなく調整が必要になるのが「ライ角」です。標準的なクラブは、身長が高い人にとっては相対的に短く感じられます。
そのため、自然なアドレスを取ろうとすると前傾姿勢が深くなり、手が体の近くではなく真下に垂れるような形になります。この状態でインパクトを迎えると、クラブヘッドのヒール側(手元側)が浮き、トゥ側(先端側)が地面に当たりやすくなります。これは「ライ角がフラットすぎる」状態で、フェースが右を向くため、ボールはターゲットの右に飛び出す「プッシュアウト」や「スライス」のミスが頻発する原因となります。
これを無意識に補正しようとして、手先でクラブを操作するようなスイングの癖がついてしまうことも少なくありません。高身長ゴルファーが安定したショットを手に入れるためには、まず自分の身長と構えに合った適正なライ角に調整することが不可欠です。専門ショップでライ角を数度アップライト(角度を大きくする)に調整してもらうだけで、見違えるようにショットが安定するケースは非常に多いのです。
全番手同じ「ワンレングスアイアン」という選択肢

近年、ゴルフクラブの新たな選択肢として注目を集めているのが、全てのアイアンのシャフト長を同じにした「ワンレングスアイアン」です。通常、アイアンセットの真ん中に位置する7番アイアン(または8番アイアン)の長さに、全ての番手が統一されています。
このコンセプトを実践し、PGAツアーで活躍しているのがブライソン・デシャンボー選手です。ワンレングスアイアンの最大のメリットは、そのシンプルさにあります。
このデメリットを解消するため、ワンレングスアイアンでは番手ごとにヘッドの重量やロフト角が精密に調整されています。スイングをシンプルにしたい、再現性を高めたいと考えるゴルファーにとっては、試してみる価値のある非常に興味深い選択肢と言えるでしょう。
総括:アイアンのシャフトの長さと身長の最適な関係性を理解しよう

この記事では、アイアンのシャフトの長さと身長の関係性について、多角的に解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
ゴルフクラブ選びは、あなたのゴルフ体験そのものを左右する重要なプロセスです。この記事を参考に、ぜひご自身にぴったりのアイアンを見つけて、さらなるスコアアップとゴルフの楽しさを追求してください。
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