「名器」として名高いブリヂストンスポーツのアイアン「TOUR B 201CB」。その卓越した打感と性能から、多くのゴルファーが「これは果たしてどこで作られているのか?」という疑問を抱いています。結論から言うと、多くの専門家や愛好家の間では、世界最高峰の鍛造技術を誇る遠藤製作所製であると認識されています。単に高性能なだけでなく、プロが要求する繊細なフィーリングを実現できるのは、新潟・燕三条の地で培われた職人技があってこそなのです。
この記事では、多くのゴルファーを虜にする 201CB アイアン の人気の秘密と、その製造元とされるブリヂストンとの深い関係、そして知られざる遠藤製作所のOEM供給の全貌に迫ります。この記事を読めば、201CB アイアンが「難しい」と言われる理由、マーク金井氏のような専門家からの評価、そして松山英樹プロをはじめとするトッププレイヤーがなぜ同社製のアイアンを選ぶのかが明確になります。さらに、スリクソンのZXi5 アイアンやZ-FORGED II、ヤマハのアイアンといった他の名器も、実は同じDNAを持っているかもしれません。あなたが次に手にするアイアン選びの、確かな指標がここにあります。
- その卓越した性能と「難しい」と言われる理由を徹底解剖します。
- トッププロを支える新潟・燕三条の圧倒的な鍛造技術力に迫ります。
- ブリヂストン、スリクソン、ヤマハなど、主要メーカーとの知られざる繋がりを明らかにします。
- 遠藤製作所が手掛けた歴代の名器アイアンから、次の一本を見つけるヒントを提供します。
201CBアイアンの評価|名器を製造する遠藤製作所の卓越した技術

このセクションでは、多くのゴルファーから絶大な支持を受けるTOUR B 201CBアイアンの具体的な評価と、その品質を支える遠藤製作所の技術力について詳しく掘り下げていきます。なぜこのアイアンが「名器」と呼ばれるのか、その理由がここにあります。
- 「難しい」は本当?対象ゴルファーレベルを解説
- マーク金井の評価は操作性の高さが魅力
- 201CB アイアンを使用するプロは国内外に多数存在する
- 後継241CBの製造元も同社工場か
- プリセプト製アイアンも高品質な鍛造モデル
- 歴代の名器と呼ばれるモデル達
「難しい」は本当?対象ゴルファーレベルを解説

201CB アイアンについて語られる際、しばしば「難しい」という評価を耳にすることがあります。この評価は、決してネガティブな意味だけではありません。むしろ、このアイアンが持つ高い性能の裏返しと捉えるべきでしょう。
結論として、201CB アイアンは、アベレージゴルファーが楽にボールを上げて飛ばすためのクラブではなく、自分のスイング技術でボールをコントロールしたいと考える中級者から上級者、アスリートゴルファーに最適なモデルです。
その理由は、主に以下の3つの特徴にあります。
- シャープなヘッド形状と狭めのスイートエリア:
201CBは、プロや上級者が好む、小ぶりでシャープなヘッド形状をしています。これにより、ラフからの抜けが良く、ボールを左右に曲げたり、高低を打ち分けたりといった操作がしやすくなっています。しかし、その反面、ヘッドの重心深度は浅く、スイートエリアは決して広くありません。そのため、芯を外した際の飛距離の落ち込みや打感の悪化は、いわゆる「やさしい」モデルと比べて顕著になります。安定して芯でボールを捉える技術がなければ、その性能を最大限に引き出すことは難しいでしょう。 - 打点がスイングに直結する
このアイアンの最大の魅力は、打感の良さとフィードバックの明確さです。芯で捉えた時のボールがフェースに吸い付くような柔らかい打感は、多くのゴルファーを虜にします。同時に、少し芯を外しただけでも、どこに当たったのかが手に取るようにわかるため、自分のスイングの課題を明確に把握することができます。これは、上達を目指すゴルファーにとっては非常に重要な要素です。逆に言えば、ミスヒットがそのまま結果に現れるため、常に同じスイングを再現できないゴルファーにとっては「難しい」と感じられるのです。 - 求められるヘッドスピード:
7番アイアンのロフト角が31.5度と、当時のツアーモデルとしては標準的ながら、決して超ストロングロフトではありません。ある程度のヘッドスピードがないと、十分な高さと飛距離を得ることが難しくなります。具体的には、ドライバーのヘッドスピードで最低でも42m/s以上は欲しいところです。
これらの特徴から、201CB アイアンは「ゴルファーを育てるクラブ」とも言えます。楽をさせてくれるクラブではありませんが、真剣にゴルフと向き合い、技術向上を目指すゴルファーにとっては、これ以上ない最高の相棒となる可能性を秘めているのです。自分のスイングと真摯に向き合いたい、そんな情熱を持つゴルファーにこそ、挑戦してほしい一本です。
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マーク金井の評価は操作性の高さが魅力

ゴルフクラブアナリストとして絶大な信頼を得ているマーク金井氏も、201CB アイアンに高い評価を与えています。彼の評価の核心は、意のままにボールを操れる卓越した操作性にあります。
マーク金井氏は、このアイアンが決してオートマチックに飛距離を稼ぐクラブではないことを前置きしつつ、その性能を以下のように分析しています。
総じて、マーク金井氏の評価は「アマチュアが使うにはそれなりの技量を要するが、ボールを操作する楽しみを教えてくれる、非常に完成度の高いアスリート向けアイアン」というものです。飛距離性能だけでなく、ゴルフの奥深さである弾道コントロールを追求したいゴルファーにとって、彼の評価は201CB アイアンを選ぶ大きな後押しとなるでしょう。
201CB アイアンを使用するプロは国内外に多数存在する

201CB アイアンの性能の高さは、多くのツアープロが実戦で使用していたことからも証明されています。プロゴルファーがクラブを選ぶ基準は極めて厳格であり、わずかな違和感も許されません。その中で201CBが選ばれたという事実は、このアイアンが持つ信頼性と実戦的な性能が本物であることの証左です。
このアイアンは、発売当初からブリヂストンスポーツ契約の多くのトッププロのキャディバッグに収まりました。特に、堀川未来夢プロや宮里優作プロといった、ショットメーカーとして名高い選手たちが使用していたことは有名です。彼らは、自分の感覚を忠実に再現してくれるクラブを求めます。201CBの持つ、意図した通りにボールを操れる操作性と、インパクトのフィーリングを重視するプロの要求に見事に応えていたのです。
また、女子ツアーでもその性能は高く評価されていました。当時契約していた古江彩佳プロや吉田優利プロといった選手も、このアイアンを武器に戦っていました。女子プロは男子プロほどパワーがないため、より一層、ショットの精度やスピンコントロールが求められます。201CBは、そうした彼女たちの厳しい要求にも応え、安定したパフォーマンスを支える重要な役割を担っていました。
海外のツアーに目を向けても、ブリヂストン契約のプロがこのモデルを手にしている姿が見られました。世界のトップが集う厳しいコースセッティングで戦う上で、ラフからの抜けの良さや、硬いグリーンでもボールを止められるスピン性能は不可欠です。201CBは、そうした多様な状況に対応できる総合力の高さを持っていました。
プロが一度信頼したクラブをスイッチすることは、非常に勇気がいる決断です。それでも多くのプロが201CBを選んだのは、このアイアンがスコアメイクに直結する「計算できるクラブ」であったからです。風の強い日には低いボールで、ピンが奥に切られている日には高いボールでスピンをかけて狙う。そうしたプロレベルのコースマネジメントを実現するための、最高のツールとして認められていたのです。
後継モデルの製造元も同社工場か

名器201CBアイアンのDNAを受け継ぎ、2024年に登場した最新モデルが「241CB アイアン」です。多くのゴルファーが気になるのは、「この最新モデルも、あの遠藤製作所が製造しているのか?」という点でしょう。
結論から申し上げると、公式な発表はないものの、その品質や特徴から、引き続き遠藤製作所の技術管理のもとで製造されている可能性が極めて高いと考えられます。
その根拠として、まず「日本製」という表記が挙げられます。製品にはMade in Japanと刻印されており、これは国内の高い品質基準で製造されていることを示しています。ブリヂストンが長年にわたり、特にアスリート向けモデルで遠藤製作所と強固なパートナーシップを築いてきた歴史を考えれば、後継モデルも同じ体制で製造するのが自然な流れです。
しかし、一部のユーザーレビューや情報では、ヘッドに「Thailand」という刻印があったとの指摘も見られます。これは、遠藤製作所がタイに持つ大規模な製造工場でヘッドが製造された可能性を示唆しています。遠藤製作所のタイ工場は、日本のマザー工場と同様の厳しい品質管理基準で運営されており、世界中のトップブランドの製品を手掛ける一大拠点です。
したがって、たとえ製造がタイ工場であったとしても、それは品質の低下を意味するものでは決してありません。むしろ、遠藤製作所が長年培ってきた精密鍛造のノウハウと、ブリヂストンのプロからのフィードバックが融合した、グローバル基準の高品質な製品であると考えるべきでしょう。
実際に241CBを手に取ると、そのシャープな「顔」つき、そして何より芯を食った時の打感は、紛れもなく201CBから受け継がれた「遠藤製作所の系譜」を感じさせます。プロの要求に応えるためにさらに進化した「デュアルカットソール」による抜けの良さなど、随所に技術の進化が見られます。
製造場所が日本国内かタイ工場かという点は興味深いですが、ゴルファーにとって最も重要なのは、その製品が信頼できる品質を持っているかどうかです。その点において、241CB アイアンは、遠藤製作所の技術という強力な裏付けを持つ、現代の最高傑作の一つであると言えるでしょう。
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最新モデルの241CBについてはこちらの記事「241CB アイアンは遠藤製作所製!名器の評価と実力を徹底解説」でも詳しく解説しています。
プリセプト製アイアンも高品質な鍛造モデル

ブリヂストンスポーツと遠藤製作所の関係を語る上で、忘れてはならないのが「プリセプト(PRECEPT)」ブランドの存在です。一部のゴルフ愛好家には懐かしく響くこのブランドも、その高品質な鍛造アイアンは遠藤製作所が手掛けていたとされています。
プリセプトは、元々ブリヂストンが北米市場を中心に展開していたブランドですが、日本国内でもこだわりのあるゴルファー向けに製品がリリースされていました。その代表格が「PRECEPT MC01 FORGED」アイアンです。
このモデルは、非常にユニークな設計思想を持つコンボアイアンセットでした。
このように、番手ごとに求められる性能を的確に分析し、それぞれに最適なヘッド形状を与えるという、非常に手の込んだ作りになっていました。
そして、このモデルの核となるのが、素材と製法です。ヘッド素材にはS20C軟鉄を採用し、遠藤製作所の精密鍛造技術によって成形されていました。これにより、全番手で共通する、非常に柔らかく心地よい打感を実現していました。芯を食った時のボールがフェースに乗る感覚は、まさに高級鍛造アイアンそのもので、多くのゴルファーから高い評価を得ていました。
TOUR Bシリーズのような派手さはありませんが、プリセプトの鍛造アイアンは、ゴルフを知り尽くした大人のゴルファーに向けた、まさに「いぶし銀」のような存在でした。ブリヂストンが、そのこだわりのモデルの製造を遠藤製作所に託したという事実は、両社の信頼関係の深さを物語っています。
歴代の名器と呼ばれるモデル達

遠藤製作所の名をゴルフ史に刻み込んできたのは、201CBや特定のモデルだけではありません。長年にわたり、数多くのブランドで「名器」と語り継がれるアイアンを世に送り出してきました。ここでは、その輝かしい歴史の一部をご紹介します。
遠藤製作所製のアイアンに共通するのは、時代を超えて愛される普遍的な美しさと、ゴルファーの感性に訴えかける極上の打感です。
- ブリヂストン TOURSTAGE X-BLADE CBシリーズ:
TOUR Bシリーズの前身であるTOURSTAGEブランド時代、特にアスリート向けモデルの「X-BLADE」シリーズの多くは遠藤製作所製とされています。中でも「X-BLADE 701」や「J15CB」などは、シャープな形状とソリッドな打感で、今なお中古市場で高い人気を誇ります。プロの要求に応える操作性と、アマチュアにも許容範囲の寛容性を両立させた絶妙なバランスが、多くのゴルファーに支持されました。 - タイトリスト 680MB FORGED:
タイトリストの美しいマッスルバックアイアンの系譜の中でも、特に「680MB」は遠藤製作所の技術が光る逸品として知られています。非常に小ぶりでシャープなヘッドは、まさに上級者向けのブレードアイアンそのもの。その寸分の狂いもない精密な形状と、芯を食った時の無垢な打感は、鍛造技術の粋を集めた芸術品とさえ言えるでしょう。 - キャロウェイ X-FORGED (2009, 2013年モデルなど):
海外ブランドであるキャロウェイも、日本の鍛造技術を高く評価し、特にプロ・上級者向けのモデルで遠藤製作所を起用していました。「X-FORGED」アイアンの初期から中期にかけてのモデルは、ロジャー・クリーブランド氏の設計思想と遠藤製作所の製造技術が見事に融合。やや丸みを帯びた形状の中に高い操作性を秘め、世界中のツアープロから愛されました。 - ヤマハ inpres Xシリーズ:
ヤマハもまた、そのアイアン製造において遠藤製作所と深い関係にありました。「inpres X V FORGED」シリーズなどは、美しい形状とヤマハならではの打音・打感へのこだわりが、遠藤製作所の技術によって具現化されていました。
これらの歴代の名器たちは、たとえヘッドに「ENDO」の刻印がなくても、その佇まいと打てばわかるフィーリングで、その出自を雄弁に物語ります。もし中古ショップでこれらのクラブを見かけることがあれば、ぜひ一度手に取ってみてください。そこには、日本の職人たちがクラブに込めた魂と、時代を超えてゴルファーを魅了し続ける普遍的な価値が宿っているはずです。
遠藤製作所製アイアンのOEM先一覧|201CB以外の名器も紹介

遠藤製作所の名前は一般のゴルファーにはあまり知られていませんが、その影響力は世界のゴルフ業界に及んでいます。その理由は、事業の多くがOEM(相手先ブランドによる生産)供給であるためです。このセクションでは、201CBアイアン以外にどのような名器が遠藤製作所から生まれているのか、その驚くべきOEM関係の全貌を明らかにします。
- 遠藤製作所の製造アイアンをモデル一覧で特徴を比較
- 主要ゴルフメーカーとのOEM関係一覧
- スリクソンZXi5アイアンも製造元か
- Z-FORGED(フォージド) IIも卓越した打感を実現
- 歴代ヤマハアイアンの製造も担当
- 松山英樹のアイアンも新潟・燕工場製
- OEM供給先の主要メーカーはどこ?
- ゴルフのアイアンの製造元は多様
遠藤製作所の製造アイアンをモデル一覧で特徴を比較

遠藤製作所がこれまでに手掛けてきたとされるアイアンは、多岐にわたります。各ブランドの設計思想やターゲットとするゴルファー層に合わせて、実に多様なモデルを製造してきました。ここでは、その代表的なモデルを比較し、それぞれの特徴を見ていきましょう。
メーカー | モデル名(シリーズ) | 主な特徴 | ターゲットゴルファー |
---|---|---|---|
ブリヂストン | TOUR B CBシリーズ (201CB, 241CB) | シャープな形状、卓越した打感と操作性 | 中級者〜プロ |
スリクソン | Z-FORGED, ZX7 | コンパクトなヘッド、抜けの良いソール、プロの要求に応える操作性 | 上級者〜プロ |
タイトリスト | T100, 680MB | ツアーで求められる精密な弾道コントロール、伝統的な美しい形状 | 上級者〜プロ |
キャロウェイ | X-FORGED (旧モデル) | やや丸みのある形状、ソリッドな打感、高い汎用性 | 中級者〜プロ |
ヤマハ | inpres X V FORGED | 美しい形状と仕上げ、独自の打音・打感へのこだわり | 中級者〜上級者 |
プロギア | 01 アイアン | 操作性と寛容性の高次元での両立、ややストロングロフト設計 | 中級者〜上級者 |
EPON (自社ブランド) | AF-Tour, AF-5/7シリーズ | 妥協なき品質、素材から製法まで一貫生産、極上の打感 | 全ての熱心なゴルファー |
この表から読み取れるのは、遠藤製作所が一貫してアスリートや熱心なゴルファー向けの高性能モデルを中心に手掛けているということです。特に、軟鉄鍛造ならではの「打感」と、ゴルファーの意図を忠実に反映する「操作性」が求められるクラブにおいて、その技術力は他の追随を許しません。
一方で、同じ遠藤製作所製であっても、ブランドごとの個性が明確に表れている点も興味深いところです。例えば、ブリヂストンのCBシリーズは王道のツアーキャビティですが、スリクソンのZ-FORGEDはよりシャープなマッスルバック、タイトリストのT100は現代的なツアーアイアンへと進化しています。
これは、遠藤製作所が単なる下請け工場ではなく、各ブランドの設計思想を深く理解し、それを具現化する最高の技術を持つ開発パートナーであることを示しています。ゴルファーがアイアンを選ぶ際には、ブランド名だけでなく、その背景にある「遠藤製作所」という共通のDNAに着目することで、より深く、本質的なクラブ選びができるようになるでしょう。
主要ゴルフメーカーとのOEM関係一覧

遠藤製作所が世界のゴルフ業界でいかに重要な存在であるかは、そのOEM供給先のリストを見れば一目瞭然です。公式に全ての関係が発表されるわけではありませんが、業界情報や製品の特性から、以下の主要ゴルフメーカーが遠藤製作所の高品質な鍛造ヘッドを採用してきたとされています。
なぜこれほど多くのトップブランドが遠藤製作所を選ぶのでしょうか。その理由は、単に鍛造技術が優れているからだけではありません。
第一に、金属組織が密に詰まった鍛造ヘッドが生み出す、比類なき心地よい打感。
第二に、プロが要求する厳しい重量公差や形状の精度をクリアできる、徹底した品質管理体制。
そして第三に、ゴルファーの意図を忠実に弾道へと変換する、高い操作性を実現できる総合的な開発・製造能力です。
これらの要素が組み合わさることで、遠藤製作所は単なる製造工場ではなく、各ブランドにとって替えの効かない戦略的パートナーとなっているのです。
スリクソンZXi5アイアンも製造元か

ダンロップの最新アスリート向けモデルとして注目を集めている「スリクソン ZXi5 アイアン」。そのシャープな見た目と高い性能から、「このアイアンも遠藤製作所製なのでは?」と推測するゴルフファンは少なくありません。
この疑問に対する公式なアナウンスはありませんが、これまでのスリクソンと遠藤製作所の関係性、そして製品の特性を見る限り、ZXi5も同社が製造に関わっている可能性は十分考えられます。
スリクソンは、長年にわたりZシリーズのツアーモデル(Z9シリーズ、Z-FORGED、ZX7など)の製造を遠藤製作所に委託してきました。特に、松山英樹プロをはじめとする契約プロの要求は非常に高く、その厳しい基準を満たすことができるのは、世界でも限られた工場しかありません。遠藤製作所は、その筆頭と言える存在です。
ZXi5アイアンは、ZXiシリーズの中でもより操作性を重視したモデルであり、プロや上級者が好むコンパクトなヘッド形状を持っています。このようなモデルで最も重要視されるのが、打感と形状の精度です。ZXi5のユーザーレビューや試打レポートを見ると、多くがそのソリッドでありながら柔らかい打感を高く評価しています。このフィーリングは、まさに遠藤製作所の得意とする軟鉄精密鍛造の証とも言える特徴です。
また、ヘッドの仕上げの美しさや、番手間の重量フローの精密さといった点も、高い品質管理能力がなければ実現できません。スリクソンがブランドの威信をかけてリリースする主力モデルの品質を、実績のあるパートナーである遠藤製作所に託すのは、ビジネス的にも非常に合理的な判断です。
もちろん、ダンロップは自社でも高い開発・製造能力を持っていますし、他の製造パートナーと協力している可能性もゼロではありません。しかし、ZXi5アイアンが持つアスリートモデルとしての佇まいやフィーリングは、あまりにも「遠藤製作所のDNA」を色濃く感じさせます。最終的な断定はできませんが、多くのゴルファーがそう信じるだけの十分な理由が、このアイアンには備わっていると言えるでしょう。
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Z-FORGED(フォージド) IIも卓越した打感を実現

スリクソンのアイアンラインナップの中でも、最もシャープで高難易度なモデルがマッスルバックの「Z-FORGED」シリーズです。その最新作である「Z-FORGED II」は、まさに純粋なブレードアイアンであり、その製造には最高レベルの鍛造技術が求められます。このモデルもまた、遠藤製作所の技術力の結晶であると広く認識されています。
Z-FORGED IIの最大の特徴は、何と言ってもその卓越した打感と操作性です。
マッスルバックアイアンは、ヘッド後方の肉厚部分(マッスル)によって、インパクト時の振動をコントロールし、独特の重厚で柔らかい打感を生み出します。Z-FORGED IIは、軟鉄(S20C)素材を精密に鍛造することで、この上なくピュアなフィーリングを実現しています。芯でボールを捉えた瞬間、ボールがフェースに長く乗り、潰れてから飛んでいく感覚は、一度味わうと忘れられないほどの心地よさです。この感覚こそ、遠藤製作所の鍛造技術がもたらす最大の価値と言えるでしょう。
また、その非常に薄いトップラインと、ほぼストレートなネック形状は、究極の操作性を追求する上級者やプロゴルファーにとって理想的なフォルムです。ドロー、フェード、弾道の高低を意のままに操りたいプレイヤーにとって、ヘッドの動きがリニアに伝わるこの形状は不可欠です。少しのミスも許容しない厳しさはありますが、それゆえに完璧なショットを打てた時の喜びは格別です。
さらに、ソール部分には「TOUR V.T. SOLE」が採用されており、あらゆるライからの抜けの良さを実現しています。インパクト時に地面との抵抗を最小限に抑えるこの設計は、プロのフィードバックを基に開発されたもので、厳しい状況下でも安定したパフォーマンスを発揮するための重要な技術です。
このように、Z-FORGED IIは素材、形状、ソール設計のすべてにおいて一切の妥協がなく、トッププレイヤーの要求に応えるために作られたアイアンです。これほどまでに高次元な要求を満たす製品を量産できるのは、世界でも遠藤製作所をおいて他にないと多くの人が考えています。まさに「Made in Japan」の誇りが詰まった逸品です。
歴代ヤマハアイアンの製造も担当

ヤマハといえば、バイクや楽器で世界的に有名なメーカーですが、ゴルフクラブの世界でも長年にわたり革新的で高品質な製品をリリースしてきました。特に、ゴルファーの「感性」に訴えかけるクラブ作りに定評があり、その製造パートナーとして遠藤製作所が重要な役割を担ってきたことは、ギアに詳しいゴルファーの間ではよく知られています。
ヤマハのゴルフクラブ開発における特徴は、楽器製造で培われた音や振動の解析技術を応用している点です。アイアンにおいても、単に飛ぶ、曲がらないといった性能だけでなく、インパクト時の「打音」や手に伝わる「打感」を非常に重視してきました。心地よいフィーリングがゴルファーに自信を与え、結果として良いパフォーマンスに繋がるという思想が根底にあります。
このヤマハ独自のこだわりを形にする上で、遠藤製作所の精密鍛造技術はまさに理想的なパートナーでした。特に、アスリート向けブランド「inpres(インプレス)」の、中でも上級者向けモデルである「inpres X V FORGED」シリーズの多くは、遠藤製作所が製造を手掛けたとされています。
これらのモデルは、S20C軟鉄を素材とし、鍛造によって成形されたヘッドが、ヤマハの感性工学に基づいて設計されていました。その結果生み出されるのは、非常に澄んだ打音と、柔らかく厚いインパクトフィーリングです。多くのユーザーが「ヤマハの打感は唯一無二」と評価するのは、こうした設計思想と製造技術の幸福なマリアージュがあったからに他なりません。
また、形状の美しさにも定評がありました。機能性を追求しつつも、日本のメーカーらしい端正で飽きのこないデザインは、所有する喜びをも満たしてくれました。
ヤマハがゴルフクラブ事業の規模を縮小したことで、近年はその名を耳にする機会が減りましたが、歴代のV FORGEDシリーズは今なお中古市場で根強い人気を保っています。もし幸運にも状態の良いものを見つけたら、ぜひ試してみてください。そこには、ヤマハの感性と遠藤製作所の技術が融合した、日本ならではのクラブ作りの神髄を感じ取ることができるはずです。
松山英樹のアイアンも新潟・燕工場製

日本ゴルフ界の至宝、松山英樹プロ。彼の世界を舞台にした活躍を支える最も重要な武器が、寸分の狂いもなく調整されたアイアンショットです。そして、その驚異的な精度を誇るアイアンヘッドが、新潟県燕市にある遠藤製作所の工場で生み出されていることは、今や多くのゴルフファンが知る事実です。
松山プロはプロデビュー以来、ダンロップの「スリクソン」ブランドのクラブを使用していますが、彼の要求する極めて繊細なフィーリングと性能を実現するため、アイアンヘッドの製造はOEMという形で遠藤製作所が担っています。
彼のクラブに対する要求は、常人の想像を絶するレベルだと言われています。ヘッドの形状、ソールの削り方、重量、重心位置など、ほんのわずかな違いを敏感に感じ取り、パフォーマンスに影響が出るため、一切の妥協が許されません。2021年のマスターズ制覇という歴史的快挙は、彼の類まれな才能と努力はもちろんのこと、その厳しい要求に応え続けた日本の職人技があったからこそ成し遂げられたと言っても過言ではないのです。
この「チーム松山」の重要な一員が、遠藤製作所の研磨職人である助川真樹氏です。彼は、松山プロの感覚を完璧に理解し、一つ一つ手作業でアイアンヘッドを研磨することで、世界に一つしかない唯一無二のクラブを創り上げています。松山プロが遠藤製作所の工場を訪れ、職人と直接コミュニケーションを取りながらクラブを調整する姿は、トップアスリートとそれを支えるマイスターとの究極の関係性を示しています。
この事実は、単に「松山プロのアイアンは日本製」という以上の意味を持ちます。それは、世界の頂点で戦うために必要な最高の品質と性能が、日本の、それも新潟・燕三条という一地方の技術によって生み出されているという証明です。ゴルファーがアイアンに求める最高の打感と信頼性は、こうしたトッププロと職人との真剣勝負の中から生まれてくるのです。私たちが遠藤製作所製のアイアンに惹かれるのは、その背景にある本物のストーリーを感じ取るからなのかもしれません。
OEM供給先の主要メーカーはどこ?

「遠藤製作所のアイアンのメーカーは?」という質問は、多くのゴルフ愛好家が抱く興味の核心です。この質問に対する最も的確な答えは、「特定の1社ではなく、国内外の数多くのトップブランドがそのメーカーである」ということになります。
前述の通り、遠藤製作所のビジネスモデルの根幹はOEM供給です。つまり、遠藤製作所は「黒子」に徹し、その卓越した技術力を各ゴルフブランドの製品という形で世に送り出しているのです。
改めて、その主要なOEM供給先(パートナー)とされるメーカーを以下にまとめます。
これらのブランド名は、ゴルフをする人なら誰もが知っている一流企業ばかりです。なぜ彼らは自社で全てを製造せず、遠藤製作所に依頼するのでしょうか。
それは、特にプロや上級者が求める「軟鉄鍛造アイアン」の製造には、極めて特殊で高度な技術と経験が必要だからです。設計は各メーカーで行えても、その設計図を寸分の狂いもなく、かつ最高の打感を持つ製品として形にできる工場は、世界でもごくわずかです。遠藤製作所は、その数少ない工場の一つであり、最高の品質を求めるブランドにとって最も信頼できるパートナーなのです。
さらに、遠藤製作所はOEM供給で培った最高の技術を結集した、自社オリジナルブランド「EPON(エポン)」も展開しています。EPONは、一切の妥協を排し、設計から製造、販売までを一貫して手掛けるプレミアムブランドとして、熱心なゴルファーから絶大な支持を得ています。
したがって、「遠藤製作所のアイアン」を手にする方法は、これらのOEM供給先ブランドの高性能モデルを選ぶか、あるいは究極の品質を誇るEPONを選ぶか、ということになります。
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ゴルフのアイアンの製造元は多様

ここまで遠藤製作所の圧倒的な存在感について解説してきましたが、「ゴルフのアイアンの製造元はどこですか?」というより広い視野で見ると、その答えは非常に多様です。特に日本は、世界に冠たる高性能アイアンの製造国であり、遠藤製作所以外にも素晴らしい技術を持つメーカーが存在します。
日本のアイアン製造において、遠藤製作所と双璧をなす存在として挙げられるのが、兵庫県市川町に拠点を置く三浦技研です。三浦技研は「ゴッドハンド」と称される創業者・三浦勝弘氏の名を冠したブランドで、その手作業による研磨技術と美しいアイアン形状は、世界中のゴルファーから崇拝にも近い評価を受けています。大量生産とは一線を画し、一本一本に魂を込めるようなクラブ作りが特徴です。
また、同じく兵庫県市川町には、共栄ゴルフ工業など、多くの実力派の製造工場が集積しています。この地域は「国産ゴルフアイアン発祥の地」とも言われ、長年にわたり日本のゴルフ産業を支えてきました。
一方で、大手メーカーの中には、自社工場で製造を行っているところもあります。例えば、ミズノは広島県にある自社の養老工場で、伝統的な「グレインフローフォージド製法」を用いたアイアンを製造しており、その独特の打感は「ミズノ打感」として世界的に有名です。
海外に目を向ければ、もちろん各国のメジャーブランドが自社の製造拠点を持っています。しかし、特に高品質な「鍛造(FORGED)」アイアンに関しては、その多くが製造を日本の専門工場に委託しているのが現状です。これは、単なるコストの問題ではなく、日本の職人が持つ繊細な技術と品質へのこだわりが、他国では代替不可能であることの証明に他なりません。
結論として、ゴルフアイアンの製造元は世界中に多様に存在しますが、こと「高品質な鍛造アイアン」というカテゴリーにおいては、新潟の遠藤製作所や兵庫の三浦技研をはじめとする日本のメーカーが、世界の中心的な役割を担っていると言って間違いないでしょう。アイアン選びの際には、こうした製造元の背景を知ることで、クラブに対する愛着も一層深まるはずです。
総括:201CBアイアンと遠藤製作所製の名器たち

この記事で解説してきた、名器201CBアイアンと、その製造元とされる遠藤製作所に関するポイントを以下にまとめます。
この記事を参考に、あなたにとって最高の打感と満足感を与えてくれる一本を見つけてみませんか。遠藤製作所が関わったクラブを手にすれば、ゴルフの新たな世界の扉が開くかもしれません。