グリーン周りのアプローチ、あと少し寄せたいバンカーショットで「ダフって大失敗…」そんな経験はありませんか?
ウェッジ選びはスコアメイクの鍵ですが、特に「ウェッジのローバウンス」は、その性能を理解せずに使うと大きなデメリットにもなりかねません。
しかし、その特性を最大限に活かせば、あなたのゴルフを劇的に変える強力な武器になるのも事実です。
この記事では、ローバウンスウェッジが持つ本当のメリットと避けて通れないデメリットを徹底的に解説します。
結論から言うと、ローバウンスウェッジはテクニックを駆使したい中〜上級者にとって最高の相棒となり得ますが、そのためにはあなたのスイングタイプやプレー環境に合った「正しい一本」を選ぶことが絶対条件です。
この記事を読めば、以下のことが明確になります。
- ローバウンスとハイバウンスの決定的な違い
- あなたのスイングに合うバウンス角の選び方
- プロも実践するローバウンスを活かす打ち方のコツ
- 【専門家レビュー】テクニック派におすすめの最新モデル3選
もう「なんとなく」でウェッジを選ぶのはやめにしましょう。この記事を最後まで読めば、あなたに最適なウェッジを見つけ、アプローチのミスを減らし、自信を持ってグリーンを狙うための具体的な知識がすべて手に入ります。
ウェッジのローバウンス|知っておくべきメリット・デメリットと打ち方

このセクションでは、スコアメイクの鍵を握るローバウンスウェッジの核心に迫ります。そのメリットとデメリットを深く理解し、あなたのゴルフスタイルに本当にマッチするのかを見極めていきましょう。
さらに、性能を最大限に引き出すための打ち方や、後悔しない選び方のポイントまで、具体的かつ分かりやすく解説します。
- ローバウンスのメリットは操作性の高さ、デメリットはミスの許容性
- 具体的なメリットは多彩なアプローチが可能なこと
- ローバウンスが合う人は払い打ちタイプの上級者
- 打ち方の基本はレベルブローでソールを滑らせること
- 自分に合う一本の選び方で失敗しないポイント
- 中古品購入時はソールの削れ具合の確認が必須
- 【徹底比較】テクニック派におすすめのモデル3選
ローバウンスのメリットは操作性の高さ、デメリットはミスの許容性

ローバウンスウェッジの最大の特徴をひと言で表すなら、「諸刃の剣」です。その核心は、メリットである「高い操作性」と、デメリットである「低いミスの許容性」という表裏一体の関係にあります。
メリットとしての操作性の高さは、フェースを開いたり閉じたりして、多彩な球筋を打ち分けたいテクニカルなゴルファーにとって大きな魅力です。
ソールの出っ張りが少ないため、ボールの下にリーディングエッジ(刃)を滑り込ませやすく、スピンをかけたり、高く上げたりといった繊細なショットコントロールが可能になります。
特に、地面が硬いライや芝が薄い状況では、この特性が最大限に活かされます。
一方で、デメリットはその裏返しです。バウンスによる「お助け機能」が少ないため、少しでもインパクトが手前から入ると、リーディングエッジが地面に突き刺さりやすくなります。
いわゆる「ザックリ」や「ダフリ」といった大きなミスに直結しやすく、スイングの精度がシビアに要求されます。
特に、ヘッドを鋭角に打ち込むタイプのゴルファーや、まだスイングが安定しないアベレージゴルファーにとっては、このデメリットが顕著に現れる可能性があります。
つまり、ローバウンスウェッジは、使いこなせればグリーン周りの表現力を無限に広げてくれる魔法の杖にもなりますが、扱いきれなければスコアを崩す原因にもなり得る、上級者向けのクラブと言えるでしょう。
具体的なメリットは多彩なアプローチが可能なこと
ローバウンスウェッジがもたらす最大のメリットは、アプローチショットのバリエーションが格段に増えることです。
これにより、ゴルファーは状況に応じて最適なショットを選択し、よりピンに近づける確率を高めることができます。
- フェースを開いて使うショットが得意になる
ローバウンスの最も大きな利点です。ソールの出っ張りが少ないため、フェースを大きく開いてもリーディングエッジが地面から浮き上がりにくくなります。
これにより、ボールを高く上げてフワリと落とす「ロブショット」や、バンカーから高くボールを出すショットが非常に打ちやすくなります。
ハイバウンスウェッジで同じことをしようとすると、刃が浮いてしまいトップのミスが出やすくなりますが、ローバウンスならその心配が少ないのです。 - 硬いライやベアグラウンドからクリーンに打てる
日本のゴルフコース、特に夏場の乾燥したフェアウェイや、芝が薄いライ(ベアグラウンド)では、バウンスが大きいと地面に跳ね返されてトップの原因になります。
ローバウンスウェッジはソールが滑らかに地面を滑るため、ボールだけをクリーンに拾うことが可能です。
これにより、難しいライからでもスピンの効いたボールでグリーンを狙うことができます。 - スピンコントロールがしやすい
ボールとフェースの間に芝などが入り込みにくいため、ダイレクトにコンタクトしやすく、意図したスピンをかけやすくなります。
低く打ち出してスピンで止める、といったプロのようなアプローチも夢ではありません。ボールを自在に操る感覚は、ゴルフの楽しさを一層深めてくれるでしょう。
これらのメリットは、単にミスを防ぐだけでなく、ゴルファーの創造性を刺激し、「寄せワン」を狙うための積極的なゴルフを可能にします。
ローバウンスが合う人は払い打ちタイプの上級者
ローバウンスウェッジの性能を最大限に引き出せるのは、特定のスキルや特徴を持ったゴルファーです。
もしあなたが以下のタイプに当てはまるなら、ローバウンスウェッジは最高の武器になる可能性があります。
自分のスイングタイプやプレースタイル、そしてゴルフ環境を客観的に分析することが、ローバウンスウェッジを使いこなすための第一歩です。
打ち方の基本はレベルブローでソールを滑らせること

ローバウンスウェッジの性能を引き出すには、クラブの特性に合わせた打ち方が不可欠です。ハイバウンスウェッジのように「上から打ち込んで終わり」というわけにはいきません。
以下の3つのポイントを意識することで、ミスを減らし、ボールを自在にコントロールできるようになります。
- ハンドファーストを緩め、レベル(水平)な軌道を意識する
最も重要なポイントです。アイアンショットのように過度なハンドファーストで構え、鋭角に打ち込むと、リーディングエッジが地面に突き刺さってしまいます。
アドレスでは、シャフトが地面と垂直になるくらいを意識し、ヘッドが低い位置から入ってきて、ボールの先で最下点を迎えるようなレベルブロー(払い打ち)の軌道でスイングしましょう。
芝の上をソールが「スーッ」と滑っていく感覚を養うことが大切です。 - ボールを右に置きすぎない
ボールを右足寄りに置くと、自然とクラブの入射角が鋭角になり、打ち込む軌道になりがちです。
スタンスの中央、もしくはやや左足寄りにボールを置くことで、緩やかな軌道でヘッドを入れやすくなります。
これにより、バウンスが機能しやすくなり、クリーンなインパクトを迎えることができます。 - フェースを開くことを恐れない
ローバウンスウェッジは、フェースを開いて使うことで真価を発揮します。ボールを高く上げたい時や、バンカーショットでは、積極的にフェースを開いて構えましょう。
フェースを開くと、ソール面がより地面に向くため、少ないバウンス角でもソールを滑らせる効果が高まります。
最初は難しく感じるかもしれませんが、練習場でボールを高く上げる練習を繰り返すことで、徐々に感覚が掴めてきます。
この打ち方は、ショートゲーム全体のレベルアップにも繋がります。ローバウンスウェッジを使いこなすための練習は、あなたのアプローチ技術をより一層洗練させてくれるでしょう。
自分に合う一本の選び方で失敗しないポイント

自分に最適なローバウンスウェッジを選ぶことは、スコアメイクに直結する重要なプロセスです。
デザインやブランドだけで選ぶのではなく、以下の3つの客観的な基準で判断することで、後悔のない一本を見つけることができます。
- スイングタイプで選ぶ(最重要)
繰り返しになりますが、これが最も重要な選択基準です。- 払い打ち(スイーパー)タイプ: 入射角が緩やかなので、バウンス角が小さい4度〜8度程度のモデルが合います。
ソールの抜けが良く、ボールをクリーンに拾えます。 - 打ち込み(ディガー)タイプ: 本来はハイバウンスが推奨されますが、どうしてもローバウンスを使いたい場合は、ソール幅が広めのモデルや、バウンス角が8度〜10度程度の「ミッドバウンス」に近いモデルから試すのが良いでしょう。
- 払い打ち(スイーパー)タイプ: 入射角が緩やかなので、バウンス角が小さい4度〜8度程度のモデルが合います。
- よくプレーするコースのコンディションで選ぶ
あなたのゴルフ環境に合わせて選びましょう。- 硬い地面・薄い芝・締まった砂のバンカーが多い: バウンスが跳ねにくい4度〜8度のローバウンスが威力を発揮します。
- 柔らかい地面・深い洋芝・フカフカな砂のバンカーが多い: ローバウンスだとヘッドが潜りすぎる可能性があります。
この場合は、8度〜10度のモデルや、状況に応じてハイバウンスウェッジと使い分けることを検討しましょう。
- 硬い地面・薄い芝・締まった砂のバンカーが多い: バウンスが跳ねにくい4度〜8度のローバウンスが威力を発揮します。
- ロフト角との組み合わせ(セッティング)で選ぶ
ウェッジ全体の流れを考えてバランスを取ることが大切です。- サンドウェッジ(56度前後): バンカーからの脱出を主目的とするなら、ある程度のバウンス(10度前後)があった方がやさしい場合が多いです。
- ロブウェッジ(60度前後): フェースを開いて高く上げるショットを多用するなら、4度〜8度のローバウンスが操作しやすくおすすめです。
このように、全てのウェッジをローバウンスにするのではなく、サンドウェッジはバンカー用に少しバウンスのあるモデル、ロブウェッジはテクニック用にローバウンス、といったように役割分担させるセッティングも非常に有効です。
- サンドウェッジ(56度前後): バンカーからの脱出を主目的とするなら、ある程度のバウンス(10度前後)があった方がやさしい場合が多いです。
これらのポイントを総合的に考慮し、可能であればショップで試打をさせてもらい、自分の感覚と照らし合わせながら最適な一本を選びましょう。
中古品購入時はソールの削れ具合の確認が必須

ローバウンスウェッジをコストを抑えて手に入れるために、中古品を検討するのは非常に賢い選択です。
しかし、ウェッジは消耗品でもあるため、購入前には必ずチェックすべき重要なポイントがいくつかあります。
特にソールとフェースの状態は、クラブの性能に直接影響するため、慎重に見極める必要があります。
中古品は一期一会ですが、これらのポイントをしっかりと確認することで、性能が劣化していない「お買い得な一本」を見つけることができます。
【徹底比較】テクニック派におすすめのモデル3選

「自分の技術を最大限に活かせるローバウンスウェッジが欲しいけど、モデルが多すぎてどれが本当に自分に合うのか分からない…」そんな悩みを抱えていませんか?
多彩なアプローチを打ち分けたいテクニック派のゴルファーにとって、ウェッジ選びはスコアに直結する重要な決断です。
結論から言うと、あなたのプレースタイルや求める性能によって最適な一本は異なります。
このセクションでは、これまで200万以上を費やしてきたゴルファーの私が、人気のローバウンスウェッジ3モデルを実際に試打し、ネット上の評判や口コミを徹底的に調査。
それぞれの「リアルな実力」を忖度なしでレビューします。この記事を読み終える頃には、あなたのゴルフを次のレベルへ引き上げる、運命の一本が必ず見つかります。
【比較表】テクニック派向けローバウンスウェッジ3モデルのスペックと特徴
まずは、今回ご紹介する3つのモデルがどのような特徴を持つのか、一覧表で比較してみましょう。
| モデル名 | タイトリスト ボーケイ SM10 | クリーブランド RTX DEEP FORGED 2 | キャロウェイ JAWS RAW |
|---|---|---|---|
| スピン性能 | |||
| 打感 | |||
| 操作性 | |||
| 寛容性 | |||
| 価格帯 | 27,500円~ | 22,000円~ | 19,800円~ |
| こんな人におすすめ | バランス重視の 競技志向ゴルファー | 最新技術と コストを両立したい人 | とにかくスピンを 最優先したい人 |
この表から、各モデルが異なる強みを持っていることがわかります。タイトリストは全ての性能が高次元でバランスが取れた優等生。
クリーブランドは打感とコストパフォーマンスに優れ、キャロウェイはスピン性能に特化した個性派と言えるでしょう。それでは、各モデルをさらに詳しく見ていきます。
1. 王者の風格【タイトリスト ボーケイデザイン SM10】徹底レビュー

PGAツアー使用率No.1を誇る、まさにウェッジの王道。プロが求める性能が凝縮されたモデルです。
多くのトッププロが信頼を寄せるその性能は、我々アマチュアゴルファーにとっても大きな魅力です。
在庫はAmazon、還元率は楽天。両方チェックが◎
2. 最新技術の結晶【クリーブランド RTX DEEP FORGED 2】徹底レビュー

新素材「Z-ALLOY」を採用し、驚きの柔らかい打感を実現。プロの使用率も急上昇中の注目モデルです。伝統的な形状の中に、最新のテクノロジーが詰め込まれています。
どちらも価格が変動するので確認必須
3. 激スピンモンスター【キャロウェイ JAWS RAW】徹底レビュー

「ゴルフ界で最もアグレッシブな溝」を搭載。その名の通り、ボールに喰らいつく強烈なスピンが魅力のモデルです。
とにかくボールを止めたい、というゴルファーの願いを叶えてくれます。
楽天は型落ちや中古も選べる
【購入ガイド】お得に手に入れるためのショップ情報と注意点
ここまで読んで「欲しい!」と思ったあなたへ。各モデルをお得に購入できる主要なオンラインストアのリンクをご紹介します。
在庫や限定セールの情報もあるので、今すぐチェックしてチャンスを逃さないようにしましょう。
新品にこだわりがなければ、中古ショップも有力な選択肢です。特に「JAWS RAW」のように発売から時間が経ったモデルは、状態の良いものが手頃な価格で見つかる可能性があります。
購入の際は、前述した「中古品購入時のチェックポイント」をぜひ参考にしてください。
ローバウンスウェッジに関するよくある質問(FAQ)
- Qローバウンスウェッジは初心者でも使えますか?
- A
正直なところ、ゴルフを始めたばかりの初心者の方には、ダフリのミスをクラブが助けてくれる「ハイバウンス」のモデルを強くおすすめします。
ローバウンスはスイングの精度が求められるため、ミスが大きな失敗に繋がりやすいからです。
しかし、払い打つタイプのスイングを習得したい、あるいは硬い人工芝の練習場で多く練習するという方であれば、挑戦する価値はあります。
- Qノーメッキウェッジ(JAWS RAW)のメンテナンス方法は?
- A
プレー後は必ず乾いた布で水分や汚れをしっかり拭き取り、乾燥した場所で保管するのが基本です。
錆の進行を少しでも抑えたい場合は、ベビーオイルや市販の防錆スプレーを薄く塗っておくと効果的です。
繰り返しになりますが、錆は性能に悪影響を及ぼすものではなく、むしろスピン性能を高めるとも言われていますので、過度に神経質になる必要はありません。
ローバウンス以外のウェッジ|ハイバウンスとの比較とメリット・デメリット

ここまでローバウンスウェッジの魅力と注意点を解説してきましたが、その特性をより深く理解するためには、対極にある「ハイバウンスウェッジ」の存在を知ることが不可欠です。
ここでは、ハイバウンスのメリット・デメリットを明らかにし、どのようなゴルファーや状況に適しているのかを比較しながら探っていきます。
また、世界のトッププロ、松山英樹選手が選ぶ特殊なウェッジについても触れ、セッティングの奥深さに迫ります。
- ハイバウンスのメリットは寛容性、デメリットは操作性の制限
- ハイバウンスの具体的なデメリットは硬いライで跳ねやすい点
- 【オートマチック派向け】ハイ バウンス ウェッジおすすめモデル3選
- バウンス角のおすすめな選び方はスイングタイプが基準
- 理想の組み合わせはロフトごとに役割を変えるのが基本
- バウンスが邪魔に感じるのは状況と打ち方のミスマッチが原因
- 松山秀樹のウエッジはPGAツアー仕様の「ほぼ0度バウンス」
ハイバウンスのメリットは寛容性、デメリットは操作性の制限

ハイバウンスウェッジは、ローバウンスとは全く逆の思想で設計されています。その最大の特徴は、多くのゴルファーの悩みを解決する「やさしさ」と、その代償としての「操作性の制限」です。
最大のメリットは、圧倒的な「寛容性」、特にダフリのミスに対する強さです。バウンス角が大きい(ソールの出っ張りが大きい)ため、インパクトで多少ヘッドが手前から入っても、ソールが地面に刺さらずに滑ってくれます。
この「お助け機能」により、アプローチでのザックリや、バンカーショットが苦手なゴルファーでも、クラブが仕事をしてくれる感覚でボールを前に運ぶことができます。
特に、ヘッドを鋭角に打ち込むタイプのゴルファーにとっては、地面との衝突を和らげてくれる力強い味方となります。
一方、デメリットはその寛容性の裏返しです。ソールの出っ張りが大きいため、ローバウンスのようにフェースを開いて使うショットには向きません。
フェースを開くとリーディングエッジが大きく浮き上がってしまい、ボールの上を叩く「トップ」のミスが出やすくなります。
そのため、ロブショットのような繊細なボールコントロールや、ライに合わせて多彩なショットを打ち分けたいテクニック派のゴルファーにとっては、その機能が逆に「邪魔」に感じられ、操作性が制限されてしまうのです。
簡単に言えば、ハイバウンスは「オートマチックにミスを減らしたい」ゴルファー向け、ローバウンスは「マニュアル操作でボールを操りたい」ゴルファー向けと言えるでしょう。
ハイバウンスの具体的なデメリットは硬いライで跳ねやすい点

ハイバウンスウェッジの持つ「やさしさ」は万能ではなく、特定の状況下では大きなデメリットに変わります。その最も代表的な例が、硬いライコンディションでヘッドが地面に「跳ねて」しまう現象です。
日本のゴルフコースでよく見られる、芝が薄く、地面が硬く締まったフェアウェイや、雨が降らずに乾燥したベアグラウンド。
このような状況でハイバウンスウェッジを使うと、大きなソールの出っ張りが地面に当たった瞬間に、クラブヘッド全体がポンと跳ね返されてしまいます。
その結果、リーディングエッジがボールの赤道よりも上に当たってしまい、低いライナーで飛び出す「トップ」のミスが起こりやすくなります。
せっかくグリーンを狙ったのに、ボールがトップして奥のOBゾーンへ…という最悪の事態も招きかねません。
また、バンカーショットでも同様の現象が起こります。砂が少なかったり、雨で固く締まったりしているバンカーでは、バウンスが砂に弾かれてしまい、ヘッドが砂に潜らずにボールを直接打ってホームラン、ということになりがちです。
このように、ハイバウンスウェッジは、柔らかいライやフカフカの砂では絶大な効果を発揮しますが、硬いコンディションではその長所が裏目に出てしまうという、明確なデメリットを持っているのです。自分のホームコースの特性を理解することが、適切なバウンス選びには不可欠です。
【オートマチック派向け】ハイ バウンス ウェッジおすすめモデル3選

アプローチやバンカーに苦手意識があり、「とにかくやさしく、ミスを減らしたい」と考えるオートマチック派のゴルファーには、ハイバウンスウェッジが最適です。
ここでは、寛容性が高く、多くのゴルファーを助けてくれる人気の3モデルを紹介します。
- キャスコ ドルフィンウェッジ DW-123
「バンカーから楽に出せる」ウェッジの代名詞的存在。独特な「クアッドソール」が砂に潜りすぎず、刺さらず、オートマチックに脱出をサポートしてくれます。
アプローチでもダフリのミスを劇的に減らしてくれる、まさにお助けクラブの決定版です。 - フォーティーン DJ-6
アマチュアゴルファーの使いやすさを徹底的に追求したモデル。超ワイドなソール幅と適切なバウンス設計により、どんなライからでもソールが滑り、安定したアプローチを可能にします。
打感の良さにも定評があり、やさしさの中にもこだわりを感じられる一本です。 - クリーブランド SMART SOLE FULL-FACE
パターのように構えて打つだけで、簡単に寄せられることをコンセプトに開発されたウェッジ。非常に広いソールと大きなバウンスが特徴で、とにかくダフリのミスをしたくないゴルファーに絶大な安心感を与えてくれます。
フェース全面に溝があるため、どこに当たってもスピンがかかるのも魅力です。
これらのモデルは、フェースを開いたり閉じたりといった難しい操作を必要とせず、クラブの性能を信じてシンプルにスイングするだけで、安定した結果をもたらしてくれます。
グリーン周りの苦手意識を克服するための、最初のステップとして最適な選択肢と言えるでしょう。
バウンス角のおすすめな選び方はスイングタイプが基準

ここまでローバウンスとハイバウンスの特徴を解説してきましたが、最終的に自分に合うバウンス角を選ぶ上で、最も優先すべき基準は「自分のスイングタイプ」です。
コースの状況や打ちたい球筋も大切ですが、まずは自分のスイングとクラブの相性を合わせることが、ミスを減らすための最短ルートです。
自分のスイングタイプを知る方法
練習場のマットでは分かりにくいですが、コースでプレーした際の「ターフ(打った後に削り取れる芝)」の取れ方で、自分のタイプを判断できます。
- 打ち込み型(ディガータイプ)
- 特徴: インパクトで深く、長いターフが取れる。アイアンショットでボールを上から潰すように打つイメージ。
- おすすめのバウンス: ハイバウンス(12度以上)。大きなバウンスが地面への刺さりを防ぎ、ヘッドの抜けを助けてくれます。
- 払い打ち型(スイーパータイプ)
- 特徴: ターフがほとんど取れないか、取れても非常に薄い。芝の上をソールが滑るように、ほうきで掃くようなイメージで打つ。
- おすすめのバウンス: ローバウンス(8度以下)。バウンスが小さい方が、ヘッドが跳ねずにボールをクリーンに捉えやすくなります。
- 中間タイプ
- 特徴: 適度に薄く、長すぎないターフが取れる。
- おすすめのバウンス: ミッド(標準)バウンス(10度前後)。様々なライコンディションに対応しやすく、最も汎用性が高いタイプです。
もし自分のタイプが分からない場合は、ゴルフショップの店員さんやレッスンプロにスイングを見てもらうのが一番確実です。自分のスイングという「土台」に合ったバウンス角を選ぶこと。これが、ウェッジ選びで失敗しないための絶対的な基準です。
理想の組み合わせはロフトごとに役割を変えるのが基本

ウェッジを複数本セッティングに入れる場合、全てのバウンス角を同じにする必要はありません。
むしろ、それぞれのウェッジが持つロフト角に合わせて、明確な「役割」を与え、バウンス角を戦略的に組み合わせることで、あらゆる状況に対応できる万能なショートゲームが完成します。
以下に、理想的な組み合わせの一例を示します。
| クラブ | ロフト角の目安 | 主な役割 | 推奨バウンス角 |
|---|---|---|---|
| アプローチウェッジ(AW/GW) | 50度〜52度 | フルショット、長めのピッチエンドラン | ミッドバウンス (8〜12度) |
| サンドウェッジ(SW) | 56度〜58度 | バンカーショット、深いラフ | ハイバウンス (12〜14度) |
| ロブウェッジ(LW) | 60度〜62度 | ロブショット、繊細なアプローチ | ローバウンス (4〜8度) |
組み合わせの考え方
- フルショットがメインのAW: フルショットで使うことが多いアプローチウェッジは、極端なバウンスは必要ありません。
様々なライに対応できるミッドバウンスが最も汎用性が高く、扱いやすいでしょう。 - バンカー専用のSW: サンドウェッジの最も重要な役割は、バンカーから一発で脱出することです。そのため、砂の爆発を助けてくれるハイバウンスが基本となります。
アプローチが苦手な人は、このサンドウェッジをグリーン周りのメインクラブにするのも良い選択です。 - テクニック用のLW: フェースを開いてボールを高く上げたり、スピンをかけたりと、テクニックを駆使したい場面で使うロブウェッジは、操作性の高いローバウンスが最適です。
このように、1本は「やさしさ」を重視したハイバウンス、もう1本は「操作性」を重視したローバウンス、というように特性の異なるウェッジを組み合わせることで、コース上での対応力が飛躍的に向上します。自分のプレースタイルに合わせて、最適なチームを編成してみてください。
バウンスが邪魔に感じるのは状況と打ち方のミスマッチが原因

「バウンスはダフリを防ぐ味方」と聞いていたのに、いざ使ってみると「なんだか打ちにくい」「むしろトップしてしまう」と感じた経験はありませんか?このようにバウンスが「邪魔」に感じられる現象は、主に2つのミスマッチが原因で起こります。
- クラブと「状況」のミスマッチ
これが最も多い原因です。前述の通り、ハイバウンスウェッジは柔らかいライでは非常に有効ですが、硬いライコンディションではその性能が裏目に出ます。- 硬いフェアウェイやベアグラウンド: 大きなバウンスが地面に跳ね返され、トップのミスを誘発します。
- 硬く締まったバンカー: バウンスが砂に弾かれ、ヘッドが潜らずにホームランしやすくなります。
「やさしいはずのハイバウンスなのにトップばかり出る」という場合は、クラブがあなたのプレーするコースの状況に合っていない可能性が高いです。
- クラブと「打ちたいショット」のミスマッチ
ゴルファーがやろうとしていることと、クラブの特性が合っていない場合にもバウンスは邪魔になります。- フェースを開いて高く上げたい: ハイバウンスウェッジでフェースを開くと、ソールの出っ張りのせいでリーディングエッジがボールの赤道よりも高く浮き上がってしまいます。
これではボールの下にヘッドを入れることができず、トップするしかありません。ロブショットのような繊細なショットは、ローバウンスウェッジの得意分野です。
- フェースを開いて高く上げたい: ハイバウンスウェッジでフェースを開くと、ソールの出っ張りのせいでリーディングエッジがボールの赤道よりも高く浮き上がってしまいます。
もしあなたがバウンスを邪魔に感じているなら、それはクラブが悪いのではなく、単に「状況」か「打ち方」との相性が悪いだけかもしれません。
自分の使っているウェッジのバウンス角を再確認し、どのような状況で使いにくいと感じるかを分析することが、問題解決の第一歩となります。
松山秀樹のウエッジはPGAツアー仕様の「ほぼ0度バウンス」

世界のトップで戦う松山英樹選手。彼のショートゲームを支えるウェッジは、我々アマチュアが使うものとは一線を画す、極めて特殊な仕様になっています。
そのセッティングを知ることは、ウェッジの奥深さを理解する上で非常に興味深い事例です。
松山選手が使用するクリーブランド製の60度ウェッジのソールは、担当クラフトマンによると、ソール中央部の広い面のバウンスがほぼ0度という、極端なローバウンス仕様に調整されています。
これは、彼が戦うPGAツアーのコースセッティングに対応するための、特別な選択です。
PGAツアーのコースは、ラフの芝が非常に粘り強く、簡単にはヘッドが抜けません。こうした状況からボールを高く上げてスピンで止めるには、フェースを大胆に開き、ヘッドスピードを上げて振り抜く必要があります。
通常のローバウンスウェッジでもフェースは開けますが、トッププロのレベルでは、ほんのわずかなバウンスでも「邪魔」になり、振り抜きを阻害することがあります。
そこで、松山選手のウェッジは、フェースを最大限に開いてもリーディングエッジが全く浮かず、粘る芝の下にヘッドを滑り込ませることができるように、バウンスを極限まで削ぎ落としているのです。
これは、ミリ単位の精度でインパクトをコントロールできる、松山選手の卓越した技術があって初めて成り立つセッティングです。
我々アマチュアがそのまま真似できるものではありませんが、この事例は「バウンスはスイングやコース状況に合わせて最適化するもの」というウェッジ選びの本質を教えてくれます。
トッププロほど、自分のプレー環境と技術に合わせて、クラブを繊細にカスタマイズしているのです。
総括:ウェッジのローバウンスはメリット・デメリットを理解して選ぼう

この記事のポイントをまとめます。
- ウェッジの溝はシャープナーで蘇る?スピン効果とリスク
- スコアが変わる!ウェッジのバウンス組み合わせと選び方
- ウェッジのバウンスを削る前に!メリット・調整法を解説
- ノーメッキウェッジの寿命を伸ばす手入れ法と交換時期の目安
- ウェッジのセッティングは48・52・56度!プロに学ぶ使い分け
- ウェッジシャフトを硬くするのはNG?重さと硬さの新常識
- 【初心者必見】58度のウェッジは難しい?選び方と使い方
- ウェッジ56度・58度は両方入れる?スコアUPのセッティング術
- 【図解】ウェッジ52度と58度の使い分け!基本から応用まで
- ウェッジ 50・56度の飛距離と使い分け!スコアUPセッティング
- ウェッジ3本はいらない?スコアがまとまる最適セッティング術
- 58度ウェッジの飛距離目安|他ロフト角との比較と選び方
- 56度ウェッジの飛距離を完全ガイド!目安・打ち方・選び方





第三者の客観的な評判・口コミまとめ